殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)

殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)

【049/100】
殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件 (新潮文庫)

殺ったのはおまえだ―修羅となりし者たち、宿命の9事件 (新潮文庫)

【050/100】
その時、殺しの手が動く―引き寄せた災、必然の9事件 (新潮文庫)

その時、殺しの手が動く―引き寄せた災、必然の9事件 (新潮文庫)

【051/100】

新潮45に掲載された犯罪ルポルタージュをまとめたもの。
三冊一気読みした後、どんよりとしたいやな気持ちになった。
世界は悪意と狂気で満ちていると思う。
実際にあった凄惨な犯罪ばかりがとりあげられているが、印象に残ったのはその犯人
たちの育った家庭環境がおしなべて「特殊」であることだ。
殺人者たちは片親だったり、極貧だったり、家庭内不和があったりして、まぁ正常とは
いいがたい環境で育っているのだ。
もちろん、そういう環境で育った人がすべて犯罪者になるわけではないが、やはり子供
の育つ環境というのはその後の人格形成に多大な影響を与えることの証左だと思う。
この三冊の中で一番いやな気分になることうけおいなのは、「殺人者はそこにいる」に
収録されている「自殺実況テープ」。
無理心中した一家の父親が、妻と娘を縊死したあと、その一部始終をテープに吹き込み、
さらに自らが首をつるまで回し続け、「実況」したのだそうである。
このテープを聞いた人は精神に変調をきたしたというなんだか都市伝説まがいのエピ
ソードもあるらしい。
断末魔にいたるまでの間、背後では得体の知れない烈風のような轟音が鳴り響いていた
という。
いったいなんだ、その音は。
おそらく単なるノイズなのだろうけど、背筋の寒くなるような話ではある。