新耳袋 第一夜 現代百物語 (角川文庫)

新耳袋 第一夜 現代百物語 (角川文庫)

【025/100】
実話怪談集。
確か映画化もされたはず。
現代っぽい幽霊話と伝統的な狐狸妖怪の話が混在した変わった形態になっている。
話の内容も玉石混肴。
個人的には幽霊話よりもなんだかわけがわからん話のほうが興味深い。
本書に収録された話では、「峠のホットドッグ屋」。
夜中にドライブをしていた一団が、峠で屋台のホットドッグ屋を見かける。
その前を通り過ぎるとき、客らしきカップルと店主が屋台から身を乗り出して
不思議そうにこちらを見つめていた。
通り過ぎたあと、ふと気づくとそのホットドッグ屋は消えていた。
よく考えれば人気のない峠に屋台が出るわけがない。
付近に車も見当たらなかった。あのカップルはどこから来たのか?
あれはいったいなんだったのだろう、というお話。
ホットドッグ屋というところが、まったくわけがわからなくて良い。


この本には「釣れますか」という話も収録してあり、それは以下のような内容。
夜釣りをしているおっさんにゆかたを着た男が話しかける。
おっさんはそれに返答する。だが、周囲の人にはおっさんが虚空に向かってしゃべって
いるようにしか見えない。
どうやらその男はおっさんにしか見えないらしい。
このエピソードに対して呉智英「まず病院に連れて行け」と書いていたのを
思い出した。
確かにまず精神病院に連れて行ったほうがいいよな、こういうのは。


まぁ、そういう批判もあることを念頭において、夏の蒸し暑い寝苦しい夜に読むと
なかなか楽しめる一冊ではある。