ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (上) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)

ノルウェイの森 (下) (講談社文庫)

いわずと知れた、村上春樹のベストセラー。
この小説が出たとき、私はまだ小学生だったが、ノルウェイが舞台の小説だと大学生に
なるまで信じ込んでいた。実際にはノルウェイとは何の関係もなく、ビートルズ
ノルウェイの森』からタイトルが取られている。
さて、肝心の内容だが、主人公のワタナベ君に感情移入できなかったので、正直つま
らなかった。ただ、風景描写がきれいなのには感心した。
この小説、世間一般では恋愛小説だと思われているようだが、実際は「喪失」に対する
人間の向き合い方を描いたものだと私は思う。キズキの自殺という出来事を、ワタナベ君は
「何事にも深く関わらない」という姿勢を貫くことで克服し、直子は自らの中に抱え
こんだ。その両者の感情の交差(接触と別れ)を描いているのである。
しかし、村上春樹の小説がおしゃれと世間で思われているのはなぜだろう。
私には北方謙三大沢在昌のハードボイルド小説のほうがよっぽどおしゃれに思えるが。